Unisoc T9100

Unisoc T9100:セキュリティと4K60に焦点を当てた上位ミッドレンジ5Gチップ
主な仕様
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CPU: Cortex-A76×1 @ 2.7GHz + Cortex-A76×3 @ 2.3GHz + Cortex-A55×4 @ 2.1GHz;6nmプロセス、1+3+4トライクラスタ
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GPU: Mali-G57 MP4
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メモリ/ストレージ: LPDDR4X 最大2133MHz、eMMC 5.1 / UFS 3.1
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ディスプレイ: FHD+ 最大120Hz、オプションで QHD+ 60Hz、HDR10+、VRR、デュアル出力/折りたたみ対応
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ビデオ: 4K@60 エンコード/デコード、10ビットデコード
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カメラ/ISP: Vivimagic 6.0、クアッドISP(2+2)、最大 108MP、MFNR/HDR、EIS、AI機能
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接続性: 5G NR Rel-15、SA/NSA、キャリアアグリゲーション(CA)、Dual-VoNR;Wi-Fi 802.11ac、BT 5.0、GNSS、FMラジオ
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AI: 専用 NPU 最大8 TOPS
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性能目安: AnTuTu v10 約 52万〜54万点、Geekbench 6 約 890/2400–2450(シングル/マルチ)
アーキテクチャと演算性能
T9100は1×A76 + 3×A76 + 4×A55のトライクラスタ構成で、最大2.7GHzの高クロックを採用。日常操作では非常に軽快な応答性を示し、長時間の重負荷では最新のA78/A720に効率で劣る場面もあるものの、短時間のバーストでは強みが生きる。
グラフィックス、ディスプレイ、マルチメディア
Mali-G57 MP4(4クラスタ)はFHD+@120Hz環境で多くの人気タイトルを快適に駆動(最重量級での安定120fpsは非保証)。マルチメディアパイプラインは4K@60のエンコード/デコードと**HDR10+**に対応し、このクラスとしては目を引く。
接続性とセキュリティ
標準的な5G機能(SA/NSA、CA、Dual-VoNR)に加え、ハードウェアセキュリティを強化。
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統合セキュアエレメント(iSE:Integrated Secure Element)
鍵や証明書を保存する分離メモリを備えた専用マイコン。決済、デジタルID、交通系カードなどの保護アプレットをメインOSとは独立して実行。仮にAndroid/iOSが侵害されても、iSE内部のデータにはアクセスできない。 -
信頼実行環境(TEE:Trusted Execution Environment)
メインCPU内(例:Arm TrustZone)の信頼領域で、顔/指紋の生体認証、暗号化、整合性検証などクリティカルな処理を隔離して実行。TEEアプリと通常アプリは相互に隔離される。 -
ハードウェア暗号エンジン
AES/ChaCha、SHA、RSA/ECCなどを高速化。より速い生体解除、ストレージ/データの暗号化、TLS安全接続、非接触決済や電子署名を性能低下なく処理できる。
これらの組み合わせにより、決済フローの速度と堅牢性が向上し、鍵/文書の安全な保管、暗号処理時の省電力化、ソフトウェアのみの保護より高い防御力が得られる。
カメラ、イメージング、AI
Vivimagic 6.0とクアッドISP(2+2)で、ミッドレンジとして堅実な画作り。最大108MP撮影、マルチフレーム夜景、EIS、ポートレートセグメンテーションに対応。最大8 TOPSのNPUはシーン認識、ノイズ低減、カメラ効果、UI処理を加速する。
メモリ、ストレージ、I/O
LPDDR4Xおよび最大UFS 3.1に対応し、UFS 2.2/eMMCベースのSoCよりシステム応答性が良好。無線はWi-Fi ac、Bluetooth 5.0、主要GNSS、FMラジオに対応。
比較とポジショニング
Unisoc T8300と比較
T8300はCPU世代が新しい(Cortex-A78/A55)うえ、一部Rel-17機能を含む5Gスタックがよりモダン。対してT9100はGPU構成が明確に強力:Mali-G57 MP4(4クラスタ) vs Mali-G57 MC2(2クラスタ)。実使用ではT8300はCPU効率/接続機能が強み、T9100はピークGPU/マルチメディア帯域で優位。
MediaTek Helio G200と比較
G200は2×A78 + 6×A55 + Mali-G57 MC2、T9100はA76×4(+A55×4) + Mali-G57 MP4。GPUクラスタ数の差でT9100が総合値やFP32/GPUテストで僅差リードする場面が多く、CPU効率は新世代コアを使うG200が有利。差は小さく、実装次第。
Snapdragon 6 Gen 4(上位クラス)と比較
S6G4は4nm、Cortex-A720/A520 + Adrenoで性能・効率が高い一方、プラットフォーム/端末コストは上がる。T9100は低コストなプラットフォームと、同クラスでUFS 3.1を提供できる点が強み。
実機・搭載端末
nubia Neo 3ファミリーのうち、Neo 3 GT 5GがUnisoc T9100搭載として紹介。シリコン的に同系のバリアントは過去にUnisoc T820として提供され、nubia Neo/Neo 2にも見られる。
総評
Unisoc T9100は、ハードウェアセキュリティ、完全な4K@60、FHD+@120Hz、UFS 3.1を備えた上位ミッドレンジの実用的な選択肢。CPUは高クロックの成熟A76、GPUはより幅広いG57 MP4でFHDゲームを快適にこなす。安全な決済/業務フロー、堅牢なマルチメディア、妥当な端末価格を重視するなら、T9100はバランスの良い一台だ。
基本
GPUの仕様
接続性
メモリ仕様
その他
ベンチマーク
他のSoCとの比較
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