AMD Radeon 660M (4-CU)
AMD Radeon 660M(4-CU):同じ名称なのに、コンピュートユニットは3分の1少ない
Radeon 660Mという名称には、厄介な混乱がある。このGPUを搭載するプロセッサの大半は6基のコンピュートユニットを備えているが、Ryzen 3 7335UではAMDが4 CU、256シェーダー、最大1.8 GHzに抑えている。名称は変わっていないにもかかわらず、性能は大幅に低い。そのため、ノートPCの仕様にRadeon 660Mと書かれていても、実際にどのバージョンが搭載されているのかまでは分からない。
Radeon 660M(4-CU)はRDNA 2アーキテクチャを採用し、Rembrandt-Rファミリーに属する。製造技術の基盤はフル仕様のRadeon 660MやRadeon 680Mと同じだが、グラフィックスブロックの数は大幅に少ない。
4-CU版Radeon 660Mと通常版の違い
2つのRadeon 660Mの違いは、クロック周波数だけではない。
| グラフィックス | プロセッサー例 | CU | シェーダー | GPUクロック | 3DMark Time Spy Graphics |
|---|---|---|---|---|---|
| Radeon 660M(4-CU) | Ryzen 3 7335U | 4 | 256 | 1.8 GHz | 1017 |
| Radeon 660M | Ryzen 5 7535U | 6 | 384 | 1.9 GHz | 1562 |
フル仕様のRadeon 660Mは、Time Spyで約54%高いスコアを記録する。これは、4-CU版を同じGPUの別構成の一つとして扱うには大きすぎる差だ。
カットダウン版の理論性能は、FP32で約0.92 TFLOPSとなる。DirectX 12とハードウェア・レイトレーシングには対応しているが、4 CUではRTを使用するゲームを動かすには力不足だ。
他の内蔵GPUと比較した性能
3DMark Time Spyでは、Radeon 660M(4-CU)は最も低性能なRadeon 610Mとフル仕様のRadeon 660Mの中間に位置する。
| プロセッサー | 内蔵グラフィックス | CU | 3DMark Time Spy Graphics | 差 |
|---|---|---|---|---|
| Ryzen 3 7320U | Radeon 610M | 2 | 515 | -49% |
| Ryzen 3 7335U | Radeon 660M(4-CU) | 4 | 1017 | 基準値 |
| Ryzen 5 7535U | Radeon 660M | 6 | 1562 | +54% |
| Ryzen 5 8540U | Radeon 740M | 4 | 1722 | +69% |
| Ryzen 7 7735U | Radeon 680M | 12 | 2518 | +148% |
Radeon 610Mと比べると伸びは大きく、Time Spyのスコアは約2倍になる。しかし、フル仕様のRadeon 660Mはさらに54%高速だ。
Radeon 740Mとの比較は特に示唆的だ。こちらもコンピュートユニットは4基だが、RDNA 3アーキテクチャと最大2.5 GHzのクロックにより、約1722ポイントを記録する。Radeon 660M(4-CU)より69%高いスコアだ。
12 CUを備えるRadeon 680Mは、すでにまったく別のカテゴリーにあり、約2.5倍の性能を発揮する。
ゲームテスト
4 CUという制限は、名称から想像される以上にRadeon 660Mの性能を大きく制約する。古いゲームや負荷の軽いゲームなら1080pでもプレイできるが、負荷の高いタイトルではすぐに設定や解像度を下げる必要がある。
| ゲーム | 設定 | 解像度 | 平均FPS |
|---|---|---|---|
| Dota 2 Reborn | High | 1920x1080 | 55.9 |
| Dota 2 Reborn | Ultra | 1920x1080 | 48.4 |
| GTA V | High | 1920x1080 | 35.2 |
| Shadow of the Tomb Raider | Medium | 1920x1080 | 25.6 |
| Shadow of the Tomb Raider | Low | 1280x720 | 73.2 |
| Cyberpunk 2077 1.6 | Low | 1920x1080 | 23.7 |
| Forza Horizon 5 | Medium | 1920x1080 | 39 |
| The Witcher 3 | High | 1920x1080 | 24.9 |
Dota 2なら、高画質設定のフルHDでも十分な性能がある。GTA Vもプレイ可能だが、High設定で35 FPSでは余裕はあまりない。
Shadow of the Tomb Raiderは、このiGPUの限界をよく示している。1080p・Medium設定では約26 FPSだが、720p・Low設定にするとフレームレートは70 FPSを超える。
Cyberpunk 2077はさらに厳しく、1080p・Low設定でも約24 FPSにとどまる。より快適にプレイするには、720pに変更してFSRを使用する必要がある。
Forza Horizon 5は比較的良好で、1080p・Mediumプリセットで約39 FPSとなる。つまり、Radeon 660M(4-CU)は古いゲーム専用というわけではないが、新しいタイトルではゲームごとに設定を個別に調整する必要がある。
メインメモリによって性能が3分の1低下することもある
Radeon 660Mには専用ビデオメモリがないため、システムのDDR5またはLPDDR5を使用する。4基のコンピュートユニットにとって、メモリ帯域幅は依然として重要な制約となる。
これは、Ryzen 3 7335Uを搭載したLenovo ThinkPad E14 Gen 6でよく分かる。
| 構成 | PassMark 3D Graphics Mark |
|---|---|
| 8 GB DDR5、シングルチャネル、Balanced | 2025 |
| 24 GB DDR5、デュアルチャネル、Balanced | 2609 |
| 24 GB DDR5、デュアルチャネル、Performance | 2690 |
2枚目のメモリモジュールを装着すると、スコアは約29%向上した。パフォーマンスモードに切り替えると、初期構成との差は約33%まで広がった。
同じノートPCでFinal Fantasy XIVを実行した場合、8 GBのシングルチャネルメモリでは2051ポイントだったのに対し、デュアルチャネルに移行すると3006~3104ポイントを記録した。
したがって、DDR5を1枚だけ搭載したRyzen 3 7335U構成は、メモリをデュアルチャネルで搭載したノートPCとは分けて考えるべきだ。内蔵グラフィックスにとって、この差は無視できないほど大きい。
Radeon 660M(4-CU)を搭載するノートPC
このバージョンのグラフィックスを搭載する主なプロセッサーはRyzen 3 7335Uだ。次の量産ノートPCに採用されている。
- Lenovo ThinkPad E14 Gen 6
- Lenovo ThinkPad E16 Gen 2
- Lenovo ThinkBook 16 Gen 7
- HP ProBook 465 G11
- Acer Aspire 15 A15-41M
選ぶ際は、プロセッサーを確認することが重要だ。Ryzen 3 7335Uは4 CU、最大1.8 GHzで動作する。Ryzen 5 7535UとRyzen 5 7535HSもRadeon 660Mと呼ばれているが、こちらは6 CU、最大1.9 GHzだ。
同じ名称の下に、Time Spyで50%を超える差が隠れている。
Radeon 660M(4-CU)の用途
Windows、ブラウザー、オフィスアプリ、動画視聴、プログラミングには十分な余裕がある。こうした作業がGPUに大きな負荷をかけることはほとんどない。
ゲームでは、性能はタイトルによって変わる。Dota 2などの軽量なオンラインゲームは1080pで問題なく動作する。GTA VもフルHDでプレイ可能だが、Shadow of the Tomb Raiderやより負荷の高いゲームでは画質を下げる必要がある。
Cyberpunk 2077は起動できるものの、フルHD・Low設定で23~24 FPSにとどまり、このグラフィックスの上限がよく分かる。このようなゲームでは、最初から720p、低設定、FSRを前提にしたほうがよい。
3Dレンダリング、最新のAAAゲーム、GPUに大きな負荷をかける作業には、Radeon 660M(4-CU)は遅すぎる。
Radeon 660M(4-CU)搭載ノートPCを買うべきか
Ryzen 3 7335U搭載ノートPCは、予算重視のゲーミングPCではなく、負荷の軽いゲームも動かせるビジネス向けモデルとして考えるべきだ。
同程度の価格でRyzen 5 7535U搭載モデルがあるなら、差は大きい。フル仕様のRadeon 660MはTime Spyで約54%高速であり、Ryzen 5はプロセッサーコアも4基ではなく6基搭載している。
Radeon 740Mを搭載するRyzen 5 8540Uはさらに高速だ。コンピュートユニット数は同じ4基だが、そのグラフィックスはRadeon 660M(4-CU)を約69%上回る。
メモリも確認しておきたい。Ryzen 3 7335UではDDR5のデュアルチャネルが望ましい。1枚だけ搭載したモデルを購入する価値があるのは、2枚目のモジュールを自分で増設できる場合に限られる。
まとめ
Radeon 660M(4-CU)は、ノートPCを評価するうえで内蔵グラフィックスの名称だけでは不十分である理由をよく示している。AMDはRadeon 660Mというブランドを維持したまま、コンピュートユニット数を6基から4基に減らし、クロックも1.8 GHzまで引き下げた。
Ryzen 3 7335Uでは、3DMark Time Spy Graphicsで約1017ポイントを記録する。これはRadeon 610Mの約2倍高速だが、フル仕様のRadeon 660Mより54%、Radeon 740Mより69%遅い。
Dota 2では1080p・High設定で約56 FPS、GTA Vでは1080p・High設定で35 FPS程度を期待できる。一方、Cyberpunk 2077は1080p・Low設定で約24 FPSにとどまる。
そして、もう一つ重要なのがメモリだ。DDR5のシングルチャネル構成では、グラフィックス性能が約3分の1低下する可能性がある。そのため、Radeon 660M(4-CU)でゲームをプレイするなら、メモリのデュアルチャネルは小さな最適化ではなく、必須条件となる。
GPUの比較
Radeon 660M (4-CU)を他のGPUsと比較
基本
メモリ仕様
ディスプレイとメディア
理論上の性能
AI機能
その他
ベンチマーク
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