Unisoc T8300

Unisoc T8300:マス市場向けのバランス型 5G チップ
主な仕様
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CPU: Arm Cortex-A78 ×2(2.2GHz)+ Cortex-A55 ×6(2.0GHz);6nm プロセス
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GPU: Arm Mali-G57 MC2(最大約 950MHz)
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メモリ/ストレージ: LPDDR4X(最大 2133MHz)、UFS 2.2 / eMMC 5.1
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ディスプレイ: FHD+ 最大 120Hz、HDR Vivid / HDR10+
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ビデオ: デコード 4K@30、エンコード 2K@30
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接続性: 5G(3GPP Release 17)、デュアル SIM 5G、NR NTN(衛星)、5G MBS(放送)、VoNR/VoWiFi、Wi-Fi 5/オプションで Wi-Fi 6 1×1、Bluetooth 5.4、GNSS、FM ラジオ
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カメラ/ISP: Vivimagic Gen7、クアッド ISP 最大 1.6 Gpixel/s;写真最大 108MP;32MP @ 25fps;16+16MP ZSL
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性能目安: AnTuTu v10 で約 48~51 万点(端末/ファームウェアにより変動)
アーキテクチャと CPU
従来の Unisoc 中位モデルに多かった Cortex-A76 から、Cortex-A78 のビッグコア 2 基とA55 の高効率コア 6 基へ移行。日常用途での安定性と省電力を狙った構成だ。純粋な CPU スループットはミッドレンジ下位~中位で、ブラウジング/メッセージング/ナビ/カジュアルゲームには十分。一方でエミュレータや複雑な 3D などヘビーな負荷では、ビッグコア 2 基と穏当なクロックが頭打ちになる。
グラフィックス、ディスプレイ、マルチメディア
Mali-G57 MC2 は FHD パネルに実用的な選択。FHD+@120Hz と HDR Vivid/HDR10+ の組み合わせで人気タイトルは快適だが、重量級タイトルで安定 120fpsを期待するのは現実的ではない。ビデオ処理は 4K@30 デコード/2K@30 エンコードを想定し、コンテンツ消費や SNS 投稿に適した設計(4K 録画志向ではない)。
Unisoc によるスケジューラ/メモリ/ネットワーク層のゲーム最適化は、FPS ドロップやロード時間を抑制。いわゆる「魔法のブースト」ではないが、量販帯の端末で体感の安定性を高める。
接続性と 5G 機能
同クラスで目を引く **3GPP Release 17(Rel-17)**対応により、**NR NTN(衛星通信)と5G MBS(放送)**の基本機能をサポート。さらにデュアル SIM 5G、VoNR/VoWiFi、NR 帯域幅 最大 100MHz、典型的な 5G 利用時の消費電力低減なども備える。
カメラ、イメージング、オーディオ
最大 1.6 Gpixel/s のクアッド ISPと Vivimagic Gen7 で画質を底上げ。ハードウェア MFR/TNR、改良版 3A 5.0、マルチフレーム夜景、ポートレート分離などに対応。静止画は 108MP まで、フロントは 32MP @ 25fps、リアのデュアルは 16+16MP(ZSL) を想定。オーディオは HiFi4 コーデック、2.0 空間オーディオ、拡張ノイズ抑制でマルチメディア用途をカバー。
メモリ、ストレージ、インターフェース
LPDDR4X+UFS 2.2 をターゲットとし、コストと応答性のバランスを確保。ワイヤレスは Wi-Fi 5(オプションで Wi-Fi 6 1×1)、Bluetooth 5.4、主要 GNSS、FM ラジオに対応し、下位~中位価格帯の端末に十分な構成。
比較と位置付け
Unisoc T820(前世代ミッドレンジ)との比較
T820 は Cortex-A76(1+3)と幅広の Mali-G57 MP4 を採用。T8300 は新しい Cortex-A78(2)とクラスター数の少ない MC2 構成へ。実使用と効率面では Rel-17 5G/衛星/MBS やオーディオ/ISP 更新で T8300 がより現代的。一方 T820 は GPU クラスタが倍で、理論上のグラフィックス帯域は広い。まとめると、T8300 は機能・効率で前進、T820 は理論 GPU 幅で優位という関係。
MediaTek Helio G200(6nm の競合ベースミッド)との比較
両者とも 2×A78+6×A55+Mali-G57 MC2 で、ベンチ差は小さい。T8300 が一部で数%の僅差で上回ることはあるが、統計的な差にとどまる。代わりに T8300 は Rel-17 の NTN/MBS など接続機能が広い。G200 は伝統的に HDR 写真/動画ブロックや ゲーム用ソフトウェアプロファイルが強み。選択は価格と優先度(接続性・電池 vs. カメラ)次第。
Snapdragon 6 Gen 4(上位クラス)との比較
S6G4 は 4nm、最新 Cortex-A720/A520 と Adreno GPU を採用し、性能・効率ともに優秀だが、チップや端末価格は高め。最新 CPU コアと強力な GPUが最優先なら S6G4、予算重視で興味深い 5G 連携機能を求めるなら T8300 が実用的な選択肢。
実機・搭載端末
MWC 2025 で nubia Neo3 5G が T8300 搭載でデビュー。超低価格帯だけでなく、120Hz ディスプレイの手頃な“ゲーミング”モデルも狙うことを示した。さらに次の機種で採用:nubia Neo 3 5G、HMD Crest 2。
総評
Unisoc T8300 は、接続性とマルチメディアに重心を置いたマス市場 5G のワークホース。CPU/GPU は堅実なミッドレンジで、Rel-17(NTN/MBS)、成熟した クアッド ISP、バランスの良い表示・音響機能が光る。前世代の Unisoc や MediaTek のベーシック対抗と比べても新鮮かつ競争力があり、最高 FPS より 価格対効果が重要な端末で特に魅力的だ。
基本
GPUの仕様
接続性
メモリ仕様
その他
ベンチマーク
他のSoCとの比較
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