MediaTek Dimensity 8300 ultra

MediaTek Dimensity 8300 Ultra:どんなチップか
Dimensity 8300 Ultra は、製造メーカー(主に Xiaomi/POCO)と共同で Dimensity 5G Open Resource Architecture(DORA) を通じて開発された Dimensity 8300 のブランド別バリエーションです。ベースのシリコンは同一ですが、カメラ・AI・ディスプレイのパイプラインに対する深いチューニングや、クロックと電力リミットの微調整が可能になります。実際には別ダイではなく、機種ごとに最適化されたチューニング版です。
主な仕様
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プロセス/CPU: TSMC 4nm;Armv9 8コア構成 — 4× Cortex-A715 + 4× Cortex-A510。Ultra 構成では一部機種で A715 単一コアが最大 3.35GHz(例:1×3.35GHz + 3×3.2GHz + 4×2.2GHz)。
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GPU: Arm Mali-G615 MC6。
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メモリ/ストレージ: LPDDR5X 最大 8533 MT/s;UFS 4.0(MCQ:Multi-Circular Queue)によりランダムアクセスやアプリインストールを高速化。
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AI/ML: APU/NPU 780 によるオンデバイス加速。ローカルモデルやカメラ効果強化、シーン理解など生成系シナリオも対応。
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カメラ/動画: Imagiq 980 ISP、最大 3億2000万画素まで対応;4K60 HDR 録画;高度なノイズ低減と HDR パイプライン;ハードウェア AV1 デコード。
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ディスプレイ: FHD+ 最大 180Hz、または WQHD+ 最大 120Hz。
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接続性: 5G 下り 最大 5.17Gbps、Wi-Fi 6E、Bluetooth 5.4。
Ultra と通常版 8300 の違い — コンセプト
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同じベース SoC だが、DORA によりカメラアルゴリズム(AE/AF/AWB/NR/HDR)、ディスプレイチェーン(スムージングエンジン/PWM 管理/色管理)、AI パイプライン、ネットワークスタックまで詳細に調整可能。
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端末の熱設計が許す範囲でクロックや電力リミットを控えめに引き上げ可能。最終的な数値は各スマートフォンの設計に依存。
Dimensity 8300 Ultra を採用する機種
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POCO X6 Pro
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Xiaomi 14T
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Redmi K70E
デバイスにもたらすメリット
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高速なオンデバイス AI: 写真/動画処理やオフライン機能(生成系エフェクト含む)をローカルで低遅延実行し、クラウド送信を不要化。
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アッパーミドル帯の強力なカメラ: 4K60 HDR、先進的な NR/HDR パイプライン、特定センサー向けの OEM 微調整。
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安定したパフォーマンス: LPDDR5X と UFS 4.0 によりゲームの FPS 維持やアプリ起動を高速化。
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電力効率: 4nm プロセスと柔軟な電力リミット設定で、端末の熱予算内でスロットリングなしの高性能をより長く維持。